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明日の株式相場に向けて=アドバルーンが効いたパウエル・マジック

―本記事は情報拡散を目的に作成しています。ご紹介している文書は、各情報サイトおよび各企業様のホームページ等から引用させていただいています―


 きょう(3日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比184円高の2万6577円と反発。反発はしたものの尻すぼみの状態で、反撃の号砲を鳴らしたという趣きではない。資源関連や非鉄、海運といった市況関連株に集中的に資金が流れ込んでいるが、空売りのショートカバーが中心という印象が強い。


 3月相場は機関投資家にすれば期末に向け、どう着地するかを考える局面であり積極的に買いポジションを高めるようなことはしない。しかも今は、ウクライナ有事に絡み右往左往するよりなく、いわば相場観の通用しないマーケットである。バリュエーションで売られ過ぎているからといって、このタイミングでリスクを取ることはしないし、まして需給思惑で人気化している市況関連株の上値には興味を示さないのが機関投資家である。


 ひとことで言うなら、先行きの見えない相場が続いている。注目されていたパウエルFRB議長の議会証言は今月のFOMCでの利上げについて直接言及する形となったが、その幅については「0.25%を支持する提案をしたい」と明言、0.5%の可能性を警戒していたマーケットにとっては福音となった。“パウエル・マジック”でNYダウは600ドル弱の大幅反発となり、何のことはない前の日の下げ分をそっくりそのまま取り戻す形となった。ただ、前日は欧州時間から買い戻しのタームに入っており、米国株市場でもショートカバーが入りやすかったという背景がある。パウエルFRB議長は量的引き締めについては具体的な言及を避けたが、適切な規模に縮小するまで3年程度の時間がかかるとの認識を示し、拙速にバランスシートを縮小するようなことはないというイメージをマーケットに与えている。


 ただし、一方でロシアのウクライナ侵攻に伴う米国経済に与える影響が「極めて不透明」と強調した。もし、ウクライナ問題による物価上昇圧力が顕在化すれば金融政策の舵取りも大きく変わりますよ、とエクスキューズを入れているようなものである。事前に0.5%引き上げのアドバルーンを上げておいて、うまくマーケット心理を丸め込んだというと表現は悪いが、冷静に振り返れば株式市場にとって今回のパウエル氏の証言はおよそフレンドリーとは言えなかった。


 ロシアのウクライナ侵攻に際し、プーチン露大統領は最初から「ロシアは世界で最も強力な核保有国の一つ」という言葉で強烈な牽制を入れている。脅し文句には違いないが、「通常兵器の延長線上での、いわゆる戦術核兵器のカードを切る可能性は否定できない」(中堅証券ストラテジスト)という指摘もある。そうしたなか、きょうはロシアのラブロフ外相が、「(第3次大戦が起これば)、それは核戦争以外にない」と述べたことも伝えられ、ロシアによる瀬戸際戦術的な威嚇が目立っている。前日の当欄でロシアの金融機関をSWIFTから排除したのは当然の制裁としたが、実際に排除したのは大手7行でロシアの最大銀行であるズベルバンクは対象外となっている。ここを外してしまうとロシア産の石油・ガスの決済手段を失うことになり、エネルギー価格の高騰に拍車をかけることになるからで、とりわけ原発を止めているドイツにとってはダメージが大きい。また、10年前にイランをSWIFTから排除した場合とは状況が大きく異なっている。ロシアは世界屈指の小麦生産国であり、今回のウクライナ問題による小麦の需給逼迫はライフラインに関わる国も出てくるだけに深刻だ。


 悪材料を並べてばかりで気が引けるが、実際この場面で強気のシナリオを掲げる根拠が見えない以上、基本戦略は「様子見」である。株式投資においては手を出さないのも勇気。もっとも、今はAI自動売買の影響で上にも下にもオーバーシュートする。怒涛の売りが来ると動揺するが、それはかなりのウエートで戦略的な空売りが載せられている。落ちてくるナイフは掴むなというが、業績面でリスクがそれほどない個別株については、テクニカル指標などを活用して、資金を分散して買い下がるというような手法は有効であると思われる。


 あすのスケジュールでは朝方取引開始前に、1月の失業率が総務省から、1月の有効求人倍率が厚労省から開示される。また、2月の輸入車販売動向が発表されるほか、3カ月物国庫短期証券の入札も予定されている。海外では1月のユーロ圏小売売上高が発表される。このほか、日本時間夜に発表される2月の米雇用統計にマーケットの関心が高い。



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