明日の株式相場に向けて=ソニーの崩落は何を意味するか

―本記事は情報拡散を目的に作成しています。ご紹介している文書は、各情報サイトおよび各企業様のホームページ等から引用させていただいています―


 きょう(19日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比790円安の2万7467円と大幅続落。朝方から地合いは悪かったが、特に後場後半になって堰を切ったように売りが噴出し、一時下げ幅は900円を超え1000円に迫ろうかという局面もあった。大引けはやや下げ渋ったものの、値下がり銘柄数は実に全体の97%に達する文字通りの全面安で、暴落といってもよい相場である。前日の米国株市場でNYダウが500ドル超の下げをみせ、ナスダック総合株価指数も400ポイント近い下落となれば、きょうの東京市場にも強い向かい風は覚悟されるところだった。だが、その風速は想定以上で、2万8000円大台攻防ぐらいに考えていた市場関係者の度肝を抜く波乱展開となった。


 前日は日本製鉄<5401>をはじめとする鉄鋼株への売り仕掛けがみられたが、きょうはソニーグループ<6758>がまさかの13%近い急落。時価総額の喪失幅を考えれば、その激震の度合いが窺い知れる。中長期波動の分水嶺である75日移動平均線をマドを開けて下に抜ける、常識的には考えにくい“崩落”をみせた。マイクロソフトのゲーム会社買収で、ソニーのロイヤルティー収入が落ち込むとの見方。それは確かに悪材料には違いないが、複数の市場関係者に話を聞いても、一様に首を傾げ「ここまで売り込まれる悪材料とは思えない」という意見で一致している。しかし、株価の急落は現実である。


 最後の砦とみられたトヨタ自動車<7203>にも遂に売りの毒牙が及んでいる。現状はまだ25日移動平均線には大分距離があるが、マドを開けての急落はソニーと同じで、これを見せつけられては強い株につけという軟調地合いにおけるセオリーも用を成さない。ソニーとトヨタ、この2枚看板を叩かれてもなされるがまま、それに買い向かう動きは限定的だった。東京市場でスポットライトの当たっている銘柄を標的にするような売りの洗礼、これはやはり尋常ではないという判断が必要であろう。


 今月14日に701億円のETF砲を久しぶりに轟かせた日銀だが、きょうは前引け時点でTOPIXの下落率は1.8%にとどまっていた。TOPIX2%下落で買い出動という暗黙のコンセンサスからすれば、きょうは見送った可能性が高い。もっとも発動したとしても700億円レベルの受け皿では、後場の怒涛の売り注文に呑み込まれてしまった公算は大きい。ここは大局的な対応が必要である。株価に興味がないと言われる岸田首相だが、「オミクロン株よりも日本株に強い危機感を持つべき」(中堅証券ストラテジスト)という声も聞かれる。「新しい資本主義」を掲げる以前に、その土台となる株式市場が大きくグラついていることに気づくべきである。


 今の東京市場は、岸田政権が政策をアナウンスしても聞く耳持たず。耳も目も常に米国に向いていて、FRBの一挙一動に神経を尖らせている。バリュー株シフトの流れは、低PBR株の宝庫である日本株にとって底上げのチャンスともなり得る場面だったが、政権がマーケットに嫌われていては資金を呼び込めない。強い主力株を売り崩しのターゲットにされてしまっている現状は、そう簡単に上昇トレンドに復帰できないことを暗示している。


 「ソニーの急落は、米国の不況を読み込んだもの」(ネット証券アナリスト)という指摘がある。消費マインドが白けた状態にもかかわらず、川上インフレで慌てて金融引き締めに動くFRBは、結果的に米国経済をスタグフレーション的な環境に陥れてしまう。今はいわゆる“Fed不況”の入り口にいるとの認識が広がっている。米株安を余儀なくされれば、今の日本株は場合によっては、それに輪をかけてリスク回避の流れとなりがちだ。足もと市場で話題となっているのは日経平均のプット(売る権利)で、「2万6500円と2万6000円に2つの山がある。そしてもう一つの山は2万4000円だ」(前出のアナリスト)とする。下値メドと一概に一致するものではないが、2月のSQに向け更なる波乱を惹起させるだけのインパクトはある。逆張りの衝動は今しばらく抑えておくところだろう。


 あすのスケジュールでは、21年12月の貿易統計が朝方取引開始前に財務省から開示される。午後には12月の主要コンビニエンスストア売上高が発表される。海外ではマレーシア、インドネシア、トルコ、ノルウェーの各国中銀が政策金利を公表する。また、米国では1月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数のほか、12月の中古住宅販売件数の発表が予定されている。



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