―本記事は情報拡散を目的に作成しています。ご紹介している文書は、各情報サイトおよび各企業様のホームページ等から引用させていただいています―
―EV・再生エネの隠れた主役を担う、巨大市場創出で次世代デバイスにも脚光―
全体相場は足もと日経平均が調整局面に入っているものの、大勢上昇トレンドが崩壊したわけではない。中国不動産大手の恒大集団の資金繰り不安が重荷となっているが、23日の社債利払いが実施されるとの報道で緊迫感はやや和らいだ。それでも、日本時間あす(23日)未明に判明するFOMCの結果とパウエルFRB議長の記者会見を前に、22日の東京市場では積極的な買いは手控えられる格好となった。しかし、FOMC通過後は良くも悪くも眼前の霧が晴れる。目先は悲観色の強い相場となっているが、弱気に傾き過ぎるとチャンスを逃すことも多い。個別には好業績銘柄が多く、総裁選に絡んでテーマ物色の動きも再燃しそうだ。先物主導で全体相場が軟化する局面は、実態ある銘柄に照準を合わせて押し目買いを狙うチャンスとなる。
●世界的なEVシフトで新たな成長神話
世界的に 半導体需要は極めて旺盛だが、そうしたなか、ここ株式市場で成長性に改めて耳目が集まっているのが「パワー半導体」だ。微細化や高集積化の最先端技術を主戦場とする民生用半導体と比べ地味な存在ながら、次世代産業の要として注目度が増している。
パワー半導体とは、「演算」や「記憶」などデータを扱うメモリー半導体とは異なり、電子機器へ電力を供給したり制御したりする役割を担うデバイスを指す。あらゆる電子機器は電源回路を搭載しているため、パワー半導体は電子機器すべてにおける必須デバイスとなっている。モーターの駆動や交流と直流の変換といった“力仕事”がパワー半導体に課せられた役割だが、シリコン半導体の高性能化に伴い現在は1000ボルト以上の電圧を取り扱うことが可能となっている。大出力モーターの動力に対応し、具体的には産業機械向けなどの市場が大きいが、最近はエレクトロニクス武装が進む自動車向けで需要が伸びており、今後については世界的にガソリン車からのシフトが進む電気自動車(EV)向けで飛躍的に需要が伸びることが予想されている。
国際エネルギー機関(IEA)によると、EVなどエコカーの普及台数は年30%前後のペースで拡大し、2030年には世界で1億4500万台に達すると試算されている。これに合わせ、パワー半導体の市場規模も急成長を遂げることになる。半導体需給逼迫が言われるなかもメモリー市況は今年7~9月期にピーク越えとの見方も出ているが、パワー半導体については陰りがみられない。シリコン半導体だけではなく、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)など化合物半導体の新たな市場が創出され、更にこれらに続く次世代パワー半導体として酸化ガリウム型デバイスなどが注目されている。
●パワー半導体業界で先駆する重電大手
日本はパワー半導体で世界でも一頭地を抜いた存在感を示している。個別企業でみれば、パワー半導体業界で首位に位置するのが独インフィニオン、第2位が米オン・セミコンダクターで、この2社が業界の双璧となっているが、そのすぐ後に続くのが三菱電機 <6503> や東芝 <6502> 、富士電機 <6504> といった重電メーカー大手で、更にルネサスエレクトロニクス <6723> 、ローム <6963> なども含め、世界のパワー半導体売上高ランキング上位10傑に日本企業が5社もランクインする状況にある。日本は紛れもなくパワー半導体大国といえるが、パワー半導体はカスタム性が高く参入障壁が高いことも、相対的に日本メーカーの地位を高めており、株式市場でも海外投資家の投資対象としてスポットライトが当たりやすいセクターとなっている。
富士電機は既に23年3月期までにパワー半導体設備投資に1200億円を投じる計画を公表していたが、直近8月下旬にはパワー半導体に400億円を追加投資し、マレーシア製造工場の生産能力増強に動き出すことが伝えられている。また、今月13日に昭和電工 <4004> は、ロームとパワー半導体向けSiCエピタキシャルウエハーに関する長期供給契約を締結したと発表した。同ウエハーの性能向上に向けたロームとの技術的連携を一段と強固にする狙いである。三菱電機は 再生可能エネルギー電源向けとして業界初の電圧2キロボルトに対応したIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)モジュールを6月末に新製品として発売。また、8月下旬には広島県福山市のパワー半導体工場に初の300ミリメートルウエハーの新ラインを設置し、11月にも稼働させる計画にあることが一部で報じられ、その後に株価水準を切り上げた経緯がある。
日本が世界において圧倒的優位なポジションを確立しているパワー半導体は、脱炭素社会に向けた国際的な取り組みが加速するなか、EVや再生可能エネルギー分野で不可欠のデバイスとして注目され、株式市場でも大きなテーマ性を発揮していくことになる。今回の特集では、ここから更なる株価変貌妙味を内包する関連有力株を5銘柄エントリーした。
●ここから注目必至のパワー半導体5銘柄
◎Mipox <5381> [JQ]
表面加工処理で使う液体研磨液剤の大手で、旺盛な半導体投資需要を背景に採算性の高いウエハー用やHDD用で需要を捉えるほか、光ファイバー向けでも安定した実力を持つ。次世代パワー半導体分野にも積極展開し脚光を浴びている。次世代パワー半導体材料のSiCやGaNウエハーに含まれる「転位欠陥」を非破壊可視化できる新技術を開発していることから、同分野の市場拡大に大きく貢献する公算が大きい。また、今年4月には連結子会社だった日本研紙を吸収合併し、一般研磨剤にもテリトリーを広げている。直近では今月7日に、次世代パワー半導体材料として期待されるダイヤモンドウエハーのエッジ研磨加工サービスを提供開始したことを発表し、これを手掛かりに投資資金を呼び込んだ。22年3月期営業利益は前期比2.2倍の8億円を計画している。株価は実質的な青空圏で強調展開を示しているが、成長力を考慮すればここからの上値余地は大きいといえる。天井も高く、今から20年前の01年2月には4333円(修正後株価)の最高値をつけている。
◎タカトリ <6338> [東証2]
精密切断加工機(マルチワイヤソー)を収益の主力とし、世界的な半導体設備増強の動きが追い風となっている。ウエハー保護テープ関連機器やチップマウンターなどの 半導体製造装置も手掛ける。パワー半導体市場の拡大とともに、SiC材料切断加工装置は同社の今後の成長ドライバーとなる可能性が高い。直近では今月8日にパワー半導体向けSiC材料切断加工装置の大口受注があったことを発表し、株価も活況高となった経緯があるが、同商品分野では他社の追随を許さない商品競争力を誇っているだけに、今後も中長期的に受注獲得が見込まれる。21年9月期業績はトップラインが17%強の高い伸びを見込み、営業損益は2億4100万円の黒字(前期実績は7100万円の赤字)と急回復を予想するが、第3四半期(20年10月~21年6月)時点で2億7000万円に達し通期計画を超過しており、一段の上方修正が濃厚とみられている。1000円近辺の株価は買い場と判断され、早晩年初来高値1335円奪回を通過点に16年5月高値1450円も意識されそうだ。
◎安永 <7271>
自動車部品会社で、エンジンのクランクシャフトとピストンをつなぐコネクティングロッドでは世界首位級。インバーターハウジングやトランスアクスルケースなど電動化領域でもクオリティーの高い部品を製造している。また2次電池分野では全固体電池やリチウムイオン電池の加工技術の開発に継続的に取り組む。トヨタ自動車 <7203> に納入する燃料電池車向け外観検査ユニットはトヨタから「技術開発賞」を受賞するほどの高評価を受けている。後工程の半導体製造装置を手掛けており、パワー半導体向けでも最終工程に使う検査測定装置で高い商品競争力を有している。業績は回復途上にあり、22年3月期は営業損益が2億1000万円の黒字(前期は5億1700万円の赤字)を見込む。収益水準はまだ低いものの、株式市場では自動車部品にとどまらない幅広い製品エリアでの高度な技術力が、折に触れ注目されるケースが多い。株価は今年3月9日につけた1489円の高値奪回と同時に、上値のフシ目となっている1500円ラインを突破しての本格上昇相場への期待がかかる。
◎テセック <6337> [JQ]
半導体製造装置関連メーカーで、半導体の動作試験(性能評価)を行うためのハンドラや測定を行うテスターを製造している。ハンドラは国内トップクラスで、個別半導体用テスターについても世界屈指の実力を持つ。また、パワー半導体向け実績が高く、車載用パワーデバイス測定システムなどが好調で業績に寄与している。車載向けでは次期テスターの量産機を投入し来期以降の収益に反映させる見通し。高付加価値化に重点を置き、パワーデバイス用テスターの需要を戦略的に開拓していく構えだ。業績は22年3月期に回復色を鮮明とし、営業損益は前期の4億4800万円の赤字から一転して15億円の黒字化を見込む。これは01年3月期以来21期ぶりの利益水準となる。株価は6月3日に3500円の年初来高値をつけたが、これは上場した2000年の11月以来の高値であり、ここをクリアすれば実質青空圏に突入する。時価総額150億円弱と小型で足が速い。再上昇に転じれば比較的短期間で3000円大台復帰から、年初来高値が視界に入るケースも考えられる。
◎トレックス・セミコンダクター <6616>
自動車や産業機器向けを中心に電源ICの製造販売を手掛けるが、小型化や省電力技術で優位性を持ち、高水準の需要を捉えている。日本国内では100%連結子会社のフェニテックセミコンダクターがディスクリート半導体及びパワー半導体を生産しているが、ファンドリー(受託生産)で台湾のTSMCと同形態のビジネスモデルとなっている。また、ファンドリーの業態にして自社開発のオリジナル製品を提供できる強みを有している点もポイント。業績は21年3月期営業利益が前の期比78%増の12億900万円と急回復を果たしたが、特筆に値するのは22年3月期の営業利益見通しであり、発射台が高くなった前期実績から更に倍増となる25億円を見込んでいる。これは18年3月期に達成した過去最高利益22億1200万円を大幅に上回る。16倍台のPERはこの成長力を考慮すれば割安といってよく、2600円台の株価は拾い場となっている可能性大。7月14日に3330円の上場来高値をつけてからは2割強の調整を入れていることで値ごろ感も漂う。
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