国内株式市場見通し:米FOMC通過で物色動向に変化、リフレトレード後退

―本記事は情報拡散を目的に作成しています。ご紹介している文書は、各情報サイトおよび各企業様のホームページ等から引用させていただいています―


■タカ派サプライズなFOMCで週後半に軟調


今週の日経平均は週後半にかけて軟調となった。週半ばから米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えてはいたが、週初の日経平均は堅調で213.07円高。米長期金利の低位安定を背景に半導体関連株が上昇したほか、端午節の祝日の関係で中国および香港市場が休場だったため、週明けのアジア株高を見越した海外勢が日本株に一部買いを入れた影響もあったもよう。15日の日経平均も堅調で279.50円高の29441.30円で終了。米長期金利の落ち着きやフィラデルフィア半導体指数(SOX指数)の大幅高を背景に東京エレクトロン<8035>など半導体関連株が強含んだほか、1ドル110円台に乗せた円安も追い風に。


イベント前の持ち高調整の売りから150.29円安となった16日を挟んだ翌17日は、FOMCの結果を受けて272.68円安と大きく続落。米連邦準備制度理事会(FRB)は量的緩和の縮小(テーパリング)については「議論のための議論」とするに止めたが、政策金利予想(ドットチャート)の中央値が2023年内での2回の利上げを示唆したことで予想以上にタカ派的と捉えられた。米長期金利が急伸したこともあり、グロース(成長)株など値がさ株を中心に売りが嵩んだ。ただ、後場は下げ幅を縮小し、終値では29000円を回復。


週末は、米長期金利がFOMC前の水準に戻し、景気過熱やインフレを見越したリフレトレードの巻き戻しが生じた17日の米株式市場の動きを映し、東京市場でも海運業や鉱業が売られる一方、日本電産<6594>やエムスリー<2413>などのグロース株が大幅に上昇。しかし、トヨタ<7203>など値もちのよい銘柄も大きく下落したことが投資家心理の重しとなり、日経平均は29000円を割り込んで終えた。


■株を投げ売る局面ではなかろう


来週の日経平均はもみ合いか。FOMC後の長期金利や期待インフレ率の落ち着きを受けて、グロース株が相場を下支えしそうだ。一方、景気過熱を見込んだリフレトレードの小休止から景気循環株は上値の重い動きとなり、全体がまちまちとなる中、指数の方向感は乏しくなろう。


直後の株式市場の反応だけをみれば、FRBは今回のFOMCを上手く切り抜けたといえる。ドットチャートでは参加者18人のうち13人が23年末までに少なくとも1回の利上げがあると予想し、3月時点の7人から倍増。22年中に利上げがあると見込んだ参加者も7人と前回の4人から増加。想定以上にタカ派的だったが、パウエルFRB議長は「これらの予測は委員会の決定や計画を示すものではない」と緩和的な姿勢も示したことでバランスが取れた。


実際、長期金利が上昇していたなかでもハイテク株は下げ渋り、当日のナスダックの下落率は0.24%と軽微だった。1.58%まで急伸した長期金利も翌17日にはFOMC前の水準にまで低下し、ハイテク株が広く買われた。米10年物ブレークイーブンインフレ率(BEI、期待インフレ率の指標)も17日には2.27%と3カ月ぶりの水準にまで低下。市場は今回のFOMCを受けて、FRBは後手に回ることなくインフレに上手く対処できるとポジティブに捉えたようだ。


一方、週末の米株式市場では、連銀総裁のタカ派発言が警戒感をもたらし、先物、オプションなどの清算日が重なるクアドラプル・ウィッチングの影響もあり相場は大幅に下落。米長期金利が1.43%と一段と低下するなかハイテク株も売られるという嫌な動きに。長期金利の低下は将来の景気後退を映したものではとの見方もあるなか、今週後半には債券市場での短期債を買い長期債を売る動きから、イールドカーブは景気後退を示唆するベアフラットニングまで発生。景気循環性の高い日本株への悪影響が懸念され、これが今週末の東京市場でのハイテク株の上げ渋りに繋がったとの見方も。


ただ、これは極端すぎる。まず、週末の米ハイテク株の下落については需給イベントに伴う影響が大きいと思われる。また、FRBの政策はタカ派的とはいえまだ変更前。時間をかけて行うことを考慮すれば超緩和的な状態が続く。景気もまだコロナからのV字回復の段階。サービス業での繰り越し需要の累積に加え、製造業では供給不足の解消が見込めない程の需要超過が継続。V字回復の局面では初期のモメンタムが最も大きいが故に、モメンタムは徐々に鈍化するが水準としては高いものが続く。そもそもコロナ発生前は2020年は景気拡張の年と言われていた。そこにコロナによる供給制約が発生したため需要超過の解消には相当な時間がかかる。


結論として、景気の鈍化を織り込みにいくのは早すぎるだろう。実際、今週末には米長期金利は一段と低下したが、年限の短い金利の方がより大きく低下しベアフラットニングはやや解消される動きとなった。長期金利の低下は次第に素直に株式市場にとってのポジティブ材料と捉えられるだろう。株を投げ売るような局面ではないと考える。


■グロース株は持ち直しか、アフターコロナにも引き続き注目



リフレトレードが後退するなかグロース株の持ち直しが予想されよう。そのほか、ワクチン接種については年齢制限が18歳以上に引き下げられたことで、空きが目立っていた大規模接種センターでは、27日までの東京会場分の予約が埋まった。オリンピック開催前後の感染第5波への警戒もあるが、ワクチン接種の一段の進展は、今週に小休止したアフターコロナ関連へのサポートとなろう。


■米5月耐久財受注、米5月個人所得・個人支出など


来週は22日に米5月中古住宅販売、23日に日銀金融政策決定会合議事要旨(4月分)、米5月新築住宅販売、米5年国債入札、24日に独6月Ifo景況感指数、英国金融政策発表、米5月耐久財受注、米7年国債入札、25日に決算発表:高島屋、出前館など、米5月個人所得・個人支出などが予定されている。