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明日の株式相場に向けて=世界経済は波乱の“確変モード”

―本記事は情報拡散を目的に作成しています。ご紹介している文書は、各情報サイトおよび各企業様のホームページ等から引用させていただいています―


 きょう(14日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比164円高の2万6643円と続伸。きょうの強調相場は正直なところ意外な印象を受けた向きも多かったのではないか。この流れは前日の米国株市場を引き継いでいる。米国株市場ではNYダウが一時460ドル超も下落する場面があったが、その後は戻りに転じた。結局200ドルあまりの下げにとどまり、ナスダック指数については更に底堅く、引けはわずかにマイナス圏の着地だが午後はプラス圏で推移する時間帯が長かった。「CPIショックに遭遇して米株市場がバランスを崩さなかったのは、ちょっとした驚きだった」(中堅証券ストラテジスト)という。


 注目されていた6月の米消費者物価指数(CPI)は、日本時間の昨晩午後9時半ごろに開示され、前年同月比9.1%の上昇となったが、これは事前のコンセンサスだった8.8%上昇を上回る高い水準で、FRBによる金融引き締めの更なる強化を示唆するに十分なインパクトがあった。今月26~27日の日程で行われるFOMCでは、0.75%の利上げをメインシナリオとして織り込んでいたのだが、直近はにわかに1.0%の利上げの可能性まで織り込む動きとなった。したがってNYダウが朝方に460ドルを超えて下落したのは当然の流れだったわけだが、ではその後の戻り足は一体何だったのか。


 市場では「金融引き締め強化による景気後退懸念から、今は一歩先に進んで、景気後退を意識したFRBが金融政策の手綱を再び緩めるところまでマーケットは織り込み始めている」(ネット証券アナリスト)と指摘する。つまり、今月のFOMCで1.0%の引き上げを行えば、次の9月のFOMCでは、さすがに金融緩和はしないまでも利上げを一時的に休止するとの思惑が生じているという。


 直近ではカナダ中銀が1.0%の政策金利引き上げを行っていることで、FRBとしても一段の引き締めは当然あり得る選択肢だが、仮に1.0%の利上げを行ったとして、これが打ち止めを意味するとは限らないし、むしろ小休止であって打ち止めとはならない可能性の方が高い。だが、これまで利上げ期待を過度に織り込みショートポジションを積み上げた向きにとって「利上げの休止」は非常に怖いシナリオとなる。そのハシリが前日の米株市場で顕在化し、売り方のポジション調整の買い戻しが機能したようだ。


 とすれば、今月のFOMCに際してはマーケットの思惑が奇妙な形で錯綜することになる。0.75%の政策金利引き上げでは買い方は不満、したがってマーケットは売り優勢に傾き、一気に1%引き上げられた場合は、今度は売り方が恐怖して買い優勢の地合いに傾くという、通常とは逆の、まさに狐と狸の化かし合いのような状況が生まれる可能性がある。


 ところで、経済メディアではここにきて再び「何十年ぶりの」というフレーズが多くなった。高い頻度で使われるため、投資家サイドとしても耳が慣れてしまったという感じもするが、これは今の世界経済が「波乱の“確変モード”」に入っていることの証でもある。ダッチロール飛行の続く世界株市場が、こういう状況から何事もなかったかのように、すんなりと巡航速度の上昇相場に戻れるとも思えない。


 米CPIの9.1%上昇については、「約40年半ぶりの」高い伸び率というから、よほどのベテランでないと過去の記憶を呼び起こして「ああ、あの時以来か」とはならない。また、ドル・円相場については1ドル=138円台に突入し、こちらはおよそ「24年ぶりの」ドル高・円安水準という。24年前といえば、日本は金融危機の只中にあった。1997年に北海道拓殖銀行や山一証券が破綻し、98年は長銀、日債銀の破綻が相次ぎデフレの極致にあった。日本売りのプロセスで起こった円安だったが、今回は少なくともそういう感じはない。実際のところ、きょうも急速な円安が全体株価にはポジティブ材料となった。いわゆるドルの独歩高だが、このドルの独歩高にもどこかでアンワインドの危険性を孕んでいる。


 あすのスケジュールでは、G20財務相・中央銀行総裁会議が16日までの日程で行われる。また、3カ月物国庫短期証券の入札も予定されている。海外では4~6月期中国GDP、6月の中国工業生産・小売売上高・固定資産投資のほか、6月の中国70都市の新築住宅価格動向も発表される。また、6月の米小売売上高、6月の米輸出入物価指数、6月の米鉱工業生産・設備稼働率、7月の米消費者態度指数速報値などが注目される。



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