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気候変動対策を再評価、上昇気流に乗る「空の脱炭素化」関連株を狙え

―本記事は情報拡散を目的に作成しています。ご紹介している文書は、各情報サイトおよび各企業様のホームページ等から引用させていただいています―


―政府主導で国内技術の競争力強化へ、電動化やSAFなどの関連企業に商機―


 経済産業省と国土交通省は6月20日、合同で第1回の「航空機の脱炭素化に向けた新技術官民協議会」を開催した。同協議会は、電動化や水素航空機の実現など航空機の 脱炭素化に向けた新技術に関する安全基準の策定や国際標準化を見据えた検討を進めるとともに、国内企業が持つ優れた技術の社会実装及び競争力の強化に向けた取り組みを推進することを主な目的としている。世界的にカーボンニュートラルを目指す動きが加速するなか、航空業界でも二酸化炭素(CO2)削減は重要課題で、関連企業のビジネス機会が一段と広がりそうだ。


●航空分野にも強まる脱炭素要請


 世界規模での気候変動対策については、国連気候変動枠組み条約のもと各国で取り組みが進められているが、海運や航空は国境を越えて移動することから国際機関が主導するかたちで検討されている。航空分野では国際航空運送協会(IATA)が2010年に業界目標として50年のCO2総排出量を05年比で半減することを表明し、21年10月には目標を「50年実質ゼロ」に引き上げた。また、国際民間航空機関(ICAO)は13年に「20年以降CO2総排出量を増加させない」とするグローバル削減目標を採択し、現在は50年以降の長期目標を検討中(今秋の総会で採択予定)だとされている。


 国交省の資料によると、20年度の国内運輸部門におけるCO2排出量に占める航空分野の割合は3%程度と自動車に比べると少ないが、航空機で1キロメートル移動する際の排出量は乗客1人当たり133グラムと、バスの109グラムや鉄道の28グラムを上回っている。政府が掲げる「温室効果ガスの排出量を30年度に13年度比で46%減らし、50年に実質ゼロにする」という目標の実現に向け、21年6月に策定されたグリーン成長戦略では14の重点分野の一つに航空機産業が選定されており、脱炭素化の要請による技術の変化が産業構造に変革をもたらし、国内航空機産業の国際競争力強化の好機となる可能性がある。


●協議会メンバーの動向に注目


 関連銘柄としては、同協議会のメンバーに名を連ねている企業に注目したい。


 ナブテスコ <6268> [東証P]は主要航空機メーカーに機体コントロールの中核となる操縦系統システムや各種装備品を提供するとともに、アフターサービスとしての部品供給も担っている。航空機の脱炭素化では舵面アクチュエーターの電動化やモーターなどの高密度化の技術開発を推進しているほか、軽量化・効率化ではアディティブマニュファクチャリング(積層造形)の活用に取り組んでいる。


 シンフォニア テクノロジー <6507> [東証P]は半導体搬送や制御機器などを展開しているほか、国内唯一の航空機搭載用電源システムメーカーとして主発電機システムからストアズ・マネジメントシステム(SMS)、次世代電源のVSCFコンバータまで航空機の電源システムを総合的にサポートしている。モーター開発では独自の高磁束密度化技術の確立により20%の特性向上が視野に入っており、コントローラー開発では更なる小型軽量化を目指している。


 ジーエス・ユアサ コーポレーション <6674> [東証P]グループのジーエス・ユアサ テクノロジーは、航空機・宇宙防衛分野の特殊用電池及び大容量鉛蓄電池、電源装置などの製品の設計・開発・製造・販売・技術サービスを手掛けている。航空機にリチウムイオンバッテリーを搭載するためには、米国の業界団体RTCAが制定した安全性規格を満たす必要があるが、同社は現在、提案活動を実施しているという。


 ジャムコ <7408> [東証P]は航空機用内装品の世界大手で、航空機器製造なども行っている。同社はCONTRAILプロジェクト(民間航空機による包括的大気観測ネットワーク)による温室効果ガスの観測を国立環境研究所や気象研究所などと共同で実施しているほか、B777型機の後継機となるB787型機用に新たに自動大気サンプリング装置とCO2濃度連続測定装置を開発中だ。


 このほかでは、東レ <3402> [東証P]、住友精密工業 <6355> [東証S]、三菱重工業 <7011> [東証P]、川崎重工業 <7012> [東証P]、IHI <7013> [東証P]、新明和工業 <7224> [東証P]、SUBARU <7270> [東証P]、日本航空 <9201> [東証P]、ANAホールディングス <9202> [東証P]なども同協議会に参加している。


●成長期待高まるSAF関連株


航空業界の脱炭素化に向けて、政府は21年12月に「30年までに国内航空会社による航空燃料使用量の10%をSAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)に置き換える」という目標を公表していることから、SAF関連銘柄にも目を配っておきたい。


 日本甜菜製糖 <2108> [東証P]は6月末、東京大学・大学院新領域創成科学研究科と共同研究契約を締結し、同大学が取り組む「SAFや食品機能性素材の原料として期待される微細藻類を、糖質資源から生産するための、従属栄養培養技術開発」に参画すると発表した。実施期間は24年3月31日までで、同社はこれまで蓄積してきた糖蜜による培養技術を応用して「微細藻類の従属栄養による高密度大量培養技術」の確立を目指すという。


 日揮ホールディングス <1963> [東証P]と関西エアポート(大阪府泉佐野市)、レボインターナショナル(京都市伏見区)の3社は6月下旬、関西エアポートグループが運営する3空港(関西国際空港、大阪国際空港、神戸空港)の飲食店などから排出される廃食用油を、日揮HDやコスモエネルギーホールディングス <5021> [東証P]傘下のコスモ石油などが推進しているSAF製造事業向けの原料として供給することに協力する基本合意書を締結したことを明らかにした。


 ユーグレナ <2931> [東証P]は6月下旬、アジア航測 <9233> [東証S]が保有・運航するセスナ式208型に、自社が製造・販売するバイオジェット燃料「サステオ」を使用したフライトを実施。また、同月初めには中日本航空(愛知県豊山町)が保有するヘリコプターで「サステオ」を使用した飛行を行ったことを明らかにしている。


 ENEOSホールディングス <5020> [東証P]傘下のENEOSと三菱商事 <8058> [東証P]は4月、SAFなど次世代燃料の事業化に向けた共同検討を行うことで合意。ENEOSが持つ製造技術及び販売網と、三菱商が有する国内外の原料調達及びマーケティングに関する知見を活用することで、SAFの早期事業化を目指すとしている。



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