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「商社株」に長期上昇の追い風、エネルギー高騰に防衛関連の側面もオン

―本記事は情報拡散を目的に作成しています。ご紹介している文書は、各情報サイトおよび各企業様のホームページ等から引用させていただいています―


―インフレ耐性の強さや高配当利回りを本格評価、多様なテーマ性内包も魅力に―


 「商社株は長期上昇局面に入った」。市場ではこんな期待感が高まっている。ウクライナ危機を背景にした原油などエネルギー価格の上昇はもちろんのこと、コロナ禍一巡後の消費回復や環境関連事業の拡大、防衛関連需要の増大も商社株には追い風に働く。22年3月期純利益が商社史上初の9000億円台に到達した企業も現れた。インフレ耐性の強さや配当利回りの高さなども魅力であり、 商社株は息の長い上昇トレンドを描きそうだ。


●バフェット氏は商社株の実力をいち早く見抜く


 商社は、原料や加工品はもちろんのこと、サービスまでありとあらゆる商材を扱う。当然、扱う商材を販売するためのネットワークづくり(チャネル開拓や物流網構築)を行うことも重要なファクターだ。インターネットの普及に伴って、生産者側と消費者側が直接結びつくような取引も可能となるなかで、過去に幾度となく「商社不要論」が取り沙汰されたこともあった。しかし、実際に単なる「中間業者」の淘汰が進む一方、それにとどまらない存在価値を構築している商社は、今もなおビジネスの世界で輝きを放っている。


 2020年8月には、そんな商社株に対していち早くスポットライトが当たった局面があった。「投資の神様」ことウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイ<BRK.B>が日本の商社株を取得したとの報道がきっかけだ。ロシアのウクライナ侵攻までを見通していたわけではないだろうが、現在も続く原油価格や穀物価格の上昇が追い風となったほか、非資源事業の成長なども寄与し、各商社の業績は軒並み好調だ。


●5大商社の配当利回りは4%近い高水準に


 特に三菱商事 <8058> [東証P]と三井物産 <8031> [東証P]の22年3月期純利益は、商社史上初の9000億円台に踏み込んだ。更に、商社株は高配当株として位置づけられているように、伊藤忠商事 <8001> [東証P]と住友商事 <8053> [東証P]、丸紅 <8002> [東証P]を含む今期の5大総合商社の平均予想配当利回りは4.0%に近い水準となっている。加えて、資源価格の上昇が追い風となり株式市場で大きな関心事の一つとなっている「インフレ」に対する耐性も有しているため、全体相場が方向感に欠ける展開となるなかでも、株価は堅調に推移している。


 足もとで米国景気後退への懸念から資源価格の調整もみられているものの、ロシアによるウクライナ侵攻の影響により、需給はタイトな状況が長期化する可能性が高そうだ。また、資源・非資源などそれぞれ強みを持っている総合商社としての選別のほか、専門商社については特定の分野に強いことから、製品によってテーマ性も高まりやすい。なお、依然としてバリュー株としての位置づけのため、市場の需給状況がリスクオンに向かうような局面においては、グロース株優位のなかで動きは鈍くなりがちだが、堅調な成長性を秘めたバリュー株としての高い評価は続きそうだ。


●CRB指数は上昇基調、防衛関連での事業展開も


 商品価格の総合的な値動きを示し商社株との連動性も強いリフィニティブ・コアコモディティCRB指数は、1月末から約25%もの大幅な上昇を見せており、依然として上値追いの様相を示している。ロシアのウクライナ侵攻についても、東部の要衝で攻防が激化している様子が伝わるなど、解決の糸口はまだ見えてはいない。


 商社株を巡る懸念材料は、「ロシアとウクライナ問題の状況が急変して落ち着き、資源や穀物価格が下落すること」や「インフレピークアウトが裏付けられるような経済指標の結果が積み上がってくること」、それに「ロシアの資源開発事業サハリン1、2の行方」などだ。


 商社株はその性質も相まって、テーマ性が豊富な点も特徴の一つだ。資源や穀物などに焦点が向きがちだが、 防衛や再生可能エネルギーはもちろん、関与する領域は拡大を続けている。例えば、三菱商が5月に分散型コンピューティングパワー(計算力)を提供するモルゲンロット(東京都千代田区)と、日本及びアセアンにおける分散型コンピューティングサービスの共同構築を視野に資本・業務提携契約を締結したと発表。三井物も5月にオーストラリアの農場における原生林の植生回復を通じてカーボンクレジットの創出・販売を手掛ける豪Climate Friendly社の33.7%の株式取得で合意したと発表している。伊藤忠の子会社である伊藤忠アビエーションでは防衛関連企業のロッキード・マーチン<LMT>などと取引を行っている。同社は、20年度の防衛装備庁の調達で11位と上位の実績を持つ。商社は研ぎ澄まされたその先見性を生かして、時代の潮流に乗る動きを各所で見せている。以下、商社の注目株を取り上げてみた。


●三菱商、双日、長瀬産など注目


 三菱商事~総合商社大手。石油・石炭事業や金属資源市場における市況上昇の影響により、22年3月期の税引き前利益は前の期比5.1倍と業績は大幅に改善。ロシアの石油・天然ガス開発事業「サハリン2」プロジェクトには10%出資しているが、権益問題については維持する構えである。「中期経営戦略2024 MC Shared Value(共創価値)の創出」を策定しており、3兆円規模の投資を計画し、カーボンニュートラル社会への移行・産業競争力向上に向けた投資を加速する。


 双日 <2768> [東証P]~総合商社。22年3月期は石炭市況の上昇などによる増益及び鉄鋼需要の回復に伴う鉄鋼事業会社の増益により金属・資源・リサイクル事業が大きく伸びており、税引き前利益は前の期比3.1倍の1170億円超となった。海外自動車販売や航空機、船舶、化学などのセグメントも伸びた。23年3月期についても石炭などの市況水準を踏まえ増益が見込まれる。


 マクニカ・富士エレホールディングス <3132> [東証P]~独立系エレクトロニクス専門商社。22年3月期は製造業のデジタルトランスフォーメーション(DX)化やデジタル関連需要の増加を背景に半導体需要は高水準で推移。企業のデジタル化への取り組みを背景にIT投資の回復基調が継続しており、集積回路及び電子デバイスその他事業は増収増益で着地。そのほか、ネットワーク事業では、セキュリティー関連製品の需要が大企業や官公庁を中心に好調だ。


 三菱食品 <7451> [東証S]~総合食品商社。22年3月期業績は物流効率化施策によるコスト改善が寄与したことなどにより、営業利益は前の期比2割超の増益だった。23年3月期については、エネルギー価格の高騰や原材料不足など不透明感があるものの、新たな成長戦略であるメーカーサポート(効率化DX)、商品開発を推進することにより、増収増益を見込んでいる。生活者ニーズに即したブランドの構築や、環境配慮型包材への切り替え、食品ロス削減につながる商品など、商品開発機能を強化させている。


 長瀬産業 <8012> [東証P]~化成品・医薬品を中心とした化学商社であり、海外の優良な製品を日本国内で独占的に輸入販売する総代理店権を有する。22年3月期の営業利益は前の期比6割増だった。機能素材では自動車向けの塗料・ウレタン原料や加工油剤、樹脂など原料販売が増加。半導体関連などの電子業界向けのエレクトロニクスケミカルも堅調。生活関連では中間体・医薬品原料の販売が増加するなど各セグメントとも堅調だった。今期についても全般堅調ななか、生活関連、電子・エネルギーについては2ケタの伸びを計画。



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