―本記事は情報拡散を目的に作成しています。ご紹介している文書は、各情報サイトおよび各企業様のホームページ等から引用させていただいています―
週明け9日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比684円安の2万6319円と急反落。米雇用統計発表後に腰砕け状態となった米国株市場の前週末の値動きを受けて、東京市場もリスクオフ一色の展開となったが、正直ここまでの急落は想定外だったといえるのではないか。米長期金利の上昇に弾みがついてきたとはいっても、ある意味既定路線であるし、日米金利差を背景に外国為替市場で円安が急速に進んでいることは「悪い円安」と言われながらも、実際これまでの経緯で日本株のアドバンテージとして意識され続けてきたという“ひそかな自信”もあった。ところが、その期待は大きく裏切られた。
市場関係者によれば「直近を振り返って大型連休の谷間であった5月2日と6日の値動きが不自然ではあった。その分のツケがきょうの急落に反映された」(ネット証券アナリスト)という。これはどういうことかというと、東京市場の2日は週明けの取引で、その直前の週末であった4月29日の米株市場の動向が反映されやすい。29日の米国株市場ではNYダウが939ドル安、ナスダック総合株価指数が536ポイント安と暴落したが、東京市場は底堅さを発揮し、日経平均がわずか29円安にとどまった。また、東京市場の6日は週末取引であったが、やはり朝安後に持ち直し、後場に買い戻しが加速して日経平均は185円高で引けた。しかし、その前日である5日の米国株市場はNYダウ1063ドル安、ナスダック総合株価指数も647ポイント安と暴落していた。
AIアルゴリズム取引の影響もあって、日経平均は取引時間中に米株価指数先物の動きを横にらみに動く傾向が強いが、それにしても、5月2日と6日、この2営業日の値動きは“不自然過ぎる”落ち着きぶりではあった。「大型連休の狭間はマーケットの流動性も低く、売りプログラムがフリーズしていたが、大型連休明けにバッファーが外れてトリガーが引かれる格好となってしまった」(前出のアナリスト)。これがきょうの急落の真相といえる。
当然ながら、外部環境の厳しさは相変わらずである。今は既に初夏を思わせる気候だが、株式市場の体感温度は“極寒”である。個人投資家のマインド低下を象徴しているのがマザーズ市場の動向できょうは、大引け間際に652.45まで下落した。2月24日につけた年初来安値652.45と何と同値である。終値は若干下げ渋り、安値更新に至らず首の皮一枚残した状態ではあるが、日経平均に先んじて早くも新安値圏に到達してしまった。日経平均は3月9日の2万4717円(終値ベース)が年初来安値で、ここまではまだかなり余裕があるが、中期的にはここを下回る可能性が結構高いと思われる。
コロナショックによる20年3月の株価暴落後に、世界株市場はコロナマネー相場、つまり各国政府のなりふり構わぬ財政投入と中央銀行の前例のない超緩和策を背景とした金融相場の上げ潮に乗った。その反動で今のインフレ環境を作り出したことはもはや否定できない。FRBが断じたサプライチェーン問題によるインフレの要素は隠れミノであって、それを見抜けず、時間軸の遅れを取り戻すために金融政策をアクセルからブレーキに踏みかえるのが性急過ぎた。慌ててFRBは資金回収に動き出したが、今後はECBもこれに追随する展開が読める。
とすれば、株式市場は今のウクライナ問題や中国のロックダウンによる経済デメリットを考慮しない状態でも、コロナショック前のレンジ、NYダウで言えば2万6000~3万ドル、日経平均で言えば2万1000~2万4000円のゾーンまで沈んだとして全く不思議はない。しかし、これを先取りする形で空売りが仕掛けられるため値動きは複雑となる。年初から短期リバウンド狙いに徹する方針を示しているのは、そうした根拠に基づくものだ。過剰流動性自体は今のところ潤沢な状態であるため、売り方のショートスクイーズを交えながら、それでも紙飛行機が弧を描くように日経平均はゆっくりと水準を切り下げていく。ただし、FRBの量的引き締め(QT)は流動性収縮のハシリであり用心が必要となる。
あすのスケジュールでは、3月の家計調査、10年物国債の入札、4月の輸入車販売と4月の車名別新車販売など。海外では、5月のZEW独景気予測指数が注目されている。また、国内主要企業の決算発表では、日本製鉄<5401>、住友金属鉱山<5713>、ソニーグループ<6758>、任天堂<7974>、三菱商事<8058>、ヤマトホールディングス<9064>などが予定されている。
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