―本記事は情報拡散を目的に作成しています。ご紹介している文書は、各情報サイトおよび各企業様のホームページ等から引用させていただいています―
―4月4日から新市場区分に移行、TOPIX改革で銘柄振るい落としも―
東京証券取引所の市場改革が、いよいよ本番を迎える。4月4日から東証は3市場に再編され、新市場としてスタートする。この市場改革では、世界の投資家が意識されており、地盤沈下が懸念される東京市場の浮上に向けた期待も強い。所属市場が実質“横滑り”で変わらない企業も多いため、「当面はあまり代わり映えがしないのでは」との見方もあるものの、上場企業の質を高める改革は、中長期的には大きな変化を生むことが期待されている。
●60年ぶりの東証改革、東証1部の約8割はプライム上場に
東京市場は、現在の「東証1部」「東証2部」「ジャスダック」「マザーズ」の4市場が「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場に再編される。今回の東証再編は2部市場が創設された1961年以来、約60年ぶりの改革とも呼ばれている。世界経済をリードする企業向けで実質最上位のプライム市場には1800社強、日本経済の中核を成す中堅企業向けのスタンダード市場には1400社強、新興企業向けのグロース市場には400社強が上場する予定だ。
なかでも、海外投資家などの投資対象となることが考慮されている注目度が高いプライム市場の上場基準は、流通株式ベースの時価総額が100億円以上、流通株式比率35%以上などとされている。
ただ、基準未達企業も達成に向けた「計画書」を提出するなど経過措置を活用することで、当面の間はプライム市場に残留できる。東証1部企業のうち300社近い企業が経過措置を活用したため、現在の1部企業の約8割はプライム市場に上場することとなる。この経過措置により「当面は期待したような大きな変化は起こりそうにない」(市場関係者)とみる声も少なくない。
●大正薬HDやキャンドゥ、エバラ食品などあえてスタンダード選択
もっとも、日本オラクル <4716> や住友精密工業 <6355> 、アコム <8572> 、油研工業 <6393> 、MUTOHホールディングス <7999> などのように現在の東証1部企業のうち340社近くがスタンダード市場に上場する。その中でも、プライム市場の上場基準を満たしながらもスタンダード市場を選択した企業には大正製薬ホールディングス <4581> やキャンドゥ <2698> 、エバラ食品工業 <2819> 、クックパッド <2193> 、東祥 <8920> 、ミツウロコグループホールディングス <8131> などがある。あえてスタンダード市場を選択した理由には、「株式の流通株式時価総額や売買代金などが将来的に適合しなくなる可能性」や「コストや労力を考慮した」ことなどが挙げられている。
この東証再編では、上場廃止基準も厳しくされている。これまで東証1部企業では時価総額が10億円(流通株式5億円)を割り込まないと上場廃止にはならなかったが、プライム市場では流通時価総額が100億円を割り込むと上場廃止基準に抵触する。将来的にはプライム市場に上場した企業を中心に、上場廃止が相次ぐことを懸念する声も出ている。
●基準未達なら25年にTOPIXから除外も
東証の市場区分見直しは4月に実施されるが、その後の市場の関心はTOPIX改革に向かうとみられる。見直し後のTOPIXは4月1日時点のTOPIX採用銘柄で構成され、プライム市場への新規上場や市場区分変更銘柄が新規採用される。流通株式時価総額100億円未満の銘柄は2022年10月から段階的にウエイトを低減され、基準に未達なら25年1月にTOPIXから除外される。この見直しに向けた第1回の判定は21年7月に実施されたが、第2回は22年10月、第3回は23年10月が予定されている。このTOPIX改革で実質的な銘柄の振るい落としが行われる見通しだ。また22年4月から6月にかけては、TOPIX浮動株比率の算定方法も見直される。
●メルカリやフリー、フェローテクなどプライム上場に期待
4月からの東証再編では、現在の東証2部やジャスダック、マザーズ上場企業の中からプライム市場を選択する企業はなかった。ただ、現在東証マザーズでグロース市場に上場するメルカリ <4385> [東証M]は1月にプライム市場への区分変更の申請を発表するなど、プライム上場を目指す動きはすでに出ている。市場には、フリー <4478> [東証M]やフェローテックホールディングス <6890> [JQ]、ウエストホールディングス <1407> [JQ]、フルヤ金属 <7826> [JQ]、ブシロード <7803> [東証M]などをプライムへの市場変更の候補銘柄に挙げる見方がある。
市場関係者からは、「4月から東証再編が始まったからといってすぐにマーケットに大きな影響は出てこないだろう。ただ、長い目では東京市場の価値向上につながっていくと思う」(アナリスト)と期待する声が出ている。東証1部の上場企業数は過去30年で8割強増加するなど、東京市場はこれまで量の拡大が続いた。しかし、今回の再編を経て、市場は本格的な上場企業の質を問うステージに入る。その改革が実を結べば日本株全体の底上げにつながっていくだろう。
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