―本記事は情報拡散を目的に作成しています。ご紹介している文書は、各情報サイトおよび各企業様のホームページ等から引用させていただいています―
週明け20日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比607円安の2万7937円と大幅続落。フシ目の2万8000円大台を割り込んだ。前週末の欧米株の動きをみて、強調地合いはハナから期待されていなかったきょうのマーケットだったが、正直ここまで下値を探る展開になることは想定しにくかった面もある。実際、取り引きが開始される前の朝方時点での市場関係者との話では、安く始まっても先物主導で買い戻しが入り、大引けはプラス圏で着地するのではないかという見方も出ていたほどである。
これまでは、売り方の仕掛けで狼少年的な暴落相場の喧伝が繰り返されてきたが、今回は中期的にみてもコロナマネー相場の終着点を意識せざるを得ない下り坂に入っている。もちろん、今後リバウンド局面は幾度となく生じるはずだが、押し目買いから戻り売りに大勢トレンドが変質してしまっている可能性がある。言い換えれば、ここからの戻り相場は9月14日の日経平均終値3万670円を一番天井として、二番天井を探す動きと定義されることになる。今の岸田政権のスタンスではそのシナリオを回避できない公算が大きい。
前週末の米国株市場でNYダウが530ドルをあまりの下げをみせたが、ナスダック総合株価指数の下げは10ポイント強にとどまったこともあり、きょうの東京市場は下げたとしてもたかが知れているというような、若干楽観するようなムードがあった。前週末に日経平均はニューヨークに先んじて520円下げていたから、ここから一段と売り叩くのは難しいであろうという判断だ。ところが、日経平均は前場に2万8000円台前半でもみ合いを続け、売り物がようやく一巡したかと思った矢先、先物主導でフリーフォール状態の下げに直面した。フシ目の2万8000円大台をいともたやすく割り込んでしまった。
振り返って前週は中銀ウィークで世界株市場も不安定な動きを余儀なくされた。FRBのテーパリング加速はもとより、ECBに先立って英イングランド銀行が3年4カ月ぶりの利上げを決めるなど、世界的に金融引き締めの動きが止まらなくなっている。今週に入っても東京市場が荒波に身をゆだねるよりない状況は変わっていない、きょうは朝方に、中国人民銀行が1年8カ月ぶりに実質的な政策金利である最優遇貸出金利の1年物を引き下げた。利上げではなく「利下げ」である。これまでのケースであれば、羽音に驚いた空売り筋の買い戻しで日経平均は大きく切り返すようなシーンがみられても不思議はなかった。ところが、そうはならなかった。まるで売り方に足もとを見られているかのようにショートカバーは入らず、むしろ売り乗せてくる展開となった。こうなると買い方も狼狽せざるを得ない。「政策金利を下げたのは景気が思わしくないから。ところが利下げの幅が0.05%と小さかったことで、不動産バブルに戦々恐々とする中国人民銀行の弱みをみせる形になってしまった」(中堅証券アナリスト)という。
新型コロナのオミクロン株の感染拡大も懸念されている。金融引き締め懸念と、オミクロン株の経済活動に与えるマイナス影響を同じ時間軸で悪材料視するのは、本来であれば矛盾する。だが、今は経済活動が停滞するなかでのインフレ、つまりスタグフレーション懸念がマーケットに覆いかぶさっている。経済正常化に向けた動きが滞るなかで、金融正常化に向けて動かなければならない各国中央銀行の苦しい立場が浮き彫りとなりつつある。
前週は中銀ウィークだったが、21年相場の最終コーナーを回って最後の直線に入った感のある今週は、図らずもIPOラッシュ・ウィークとなっている。株式需給悪は覆うべくもなく、新規上場を取り消したZEALSのように、あえてこの荒海のなかで船出をすることを回避する動きも出ている。ただし、投資家サイドからの熱気が全く伝わってこないわけではない。きょうマザーズ市場に新規上場した3銘柄は2銘柄が初値形成後にストップ高を演じた。そのなか、公開価格とほぼ同値で誕生したJDSC<4418>はAIなどを活用したアルゴリズムモジュール開発を手掛け、まだ上値追い余力は十分にみえる。
あすのスケジュールでは、11月の全国スーパー売上高が日本チェーンストア協会から、食品スーパー売上高が日本スーパーマーケット協会から発表される。海外では豪州中銀の理事会議事要旨(12月開催分)が開示されるほか、7~9月の米経常収支が発表される。なお、国内ではIPOが4社予定されており、マザーズ市場にYCPホールディングスリミテッド<9257>(外国株)とラバブルマーケティンググループ<9254>が、また東証2部市場には湖北工業<6524>とライフドリンク カンパニー<2585>が新規上場する。
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