―本記事は情報拡散を目的に作成しています。ご紹介している文書は、各情報サイトおよび各企業様のホームページ等から引用させていただいています―
きょう(4日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比273円高の2万9794円37銭と反発。FOMCは波乱要素なく通過したが、最高値街道を走る米株高の恩恵を享受したにしては、やや物足りない相場ではあった。
注目度の高かったトヨタ自動車<7203>の決算発表は非常に好調な内容だった。22年3月期業績予想を上方修正し、営業利益は従来予想の2兆5000億円から2兆8000億円(前期比27%増)に3000億円も上乗せされた。現在の国際会計基準と当時の米国会計基準との違いはあるものの、16年3月期に達成した2兆8539億円の過去最高利益にほぼ肩を並べる水準だ。実際、発表直後はAIアルゴリズムが買いで反応してトヨタ株は2100円まで急浮上した。これは株式分割考慮で過去最高値更新となる。ただ、その後は大口の売りをぶつけられ下ヒゲで2027円台まで売り込まれる不安定な値動きとなった。これをどうみるかだが、市場関係者によると「決算の数字については素直に評価してよいと思われる。足もとは気迷い気味(の株価推移)だが、2000円トビ台で買って損をするイメージは湧かない」(中堅証券ストラテジスト)という。
今回のトヨタ決算のポイントとなったのは、ポジティブな側面からは為替の円安が想定以上に進行したということ。同社は今回、年間想定為替レートを1ドル=110円と前回設定の105円から5円も円安方向に動かした。“為替感応度日本一”の同社にとってこの5円分の円安メリットは営業利益を4000億円以上押し上げる効果がある。一方、ネガティブ要素としては、半導体不足による生産台数削減というサプライチェーン問題の影響が大きい。ただ、このサプライチェーンリスクは改善に向かっており、同社は12月以降の生産回復に自信をみせている。前出のストラテジストは「決算期末にかけて円安環境が継続することと、半導体不足によるサプライチェーンリスクが解消すること、この2つが前提条件の上方修正だが、現時点で無理のないシナリオに思える」とする。
このほか、きょうは半導体関連が主力株中心に史上最高値圏を走るSOX指数を横目に終始買い優勢の動きをみせた。しかし一方で、決算発表を跨(また)いで大手海運株が荒れ模様の動きとなるなど、相変わらず“決算プレー”の難しさが浮き彫りとなっている。
テーマ買いの観点では、衆院選直後にもかかわらずCOP26に強行軍で電撃参戦した岸田首相の行動力は評価され、脱炭素という課題に日本も本腰を入れて取り組んでいるという姿勢を世界に発信した意義は大きい。他方、環境NGOが温暖化対策に後ろ向きな国に贈る「化石賞」にまたもや日本が選出されたというのはマイナス材料であることには違いなく、強みとする水素・アンモニアで(石炭混焼で)アジア展開を図ろうという日本の思惑に釘を刺された感も否めない。しかし将来的に、究極のクリーンエネルギーである水素やコスト面で優位なアンモニアが環境保全の観点からガラパゴス化するとは考えにくい。水素関連では、引き続き長野計器<7715>や木村化工機<6378>などの動きがマークされる。
岸田銘柄として脱炭素に絡む銘柄が脚光を浴びやすいのはもちろんだが、このほか意外性に富む銘柄の宝庫として宇宙関連は外せない。なぜなら、宇宙開発戦略本部の本部長に岸田首相が就いていることは結構なインパクトがあるからだ。スペースデブリ(宇宙ごみ)除去では日東製網<3524>がかなり以前から関連有力株としてのポジションにあるほか、HAKUTO(月面探査)関連では宇宙事業に経営資源を積極的に投下し前向きな姿勢を示す高砂熱学工業<1969>がマークされる。また、10月26日に打ち上げに成功した準天頂衛星「みちびき」に絡む有力銘柄として、みちびき高精度測位対応受信機をはじめ各種GNSS受信機を開発・提供するコア<2359>にも注目してみたい。
あすのスケジュールでは、9月の家計調査のほか、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の7~9月期運用報告などが予定される。また、東証マザーズ市場にPhotosynth<4379>が新規上場する。海外では10月の米雇用統計に対する注目度が高い。このほか、9月の米消費者信用残高。欧州では9月のユーロ圏小売売上高が発表される。なお、インド市場は休場となる。国内主要企業の決算発表では、INPEX<1605>、キッコーマン<2801>、ジェイ エフ イー ホールディングス<5411>、ミネベアミツミ<6479>、オリンパス<7733>、三菱商事<8058>、三井不動産<8801>などがある。海外の主要企業ではアリババ<BABA>の決算が注目される。
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