―本記事は情報拡散を目的に作成しています。ご紹介している文書は、各情報サイトおよび各企業様のホームページ等から引用させていただいています―
きょう(16日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比188円安の3万323円と続落。前日の米国株市場でNYダウが反発し、ナスダック総合指数も6日ぶりに切り返しに転じたことで取引開始前は若干の安堵感が漂っていたが、あっさりと裏切られた。ここ最近は米国株市場と東京市場の足並みは全く揃っていない。気になるのは個人投資家の土俵であるマザーズ市場が変調となっていることで、マザーズ指数は大陰線を引いて75日移動平均線近辺まで水準を切り下げており、要警戒ムードを残している。世界的に景気回復に対する期待感が色褪せてきた。消費者マインド的には景気過熱感には程遠いが、各国政府や中央銀行による徹底的な流動性供給が商品市況など川上インフレを誘発しており、金融緩和策の出口戦略を考えざるを得ない環境が近づいている。
「不景気の株高」という言葉があるが、これは不景気であれば基本的に金融政策は緩和的な措置がとられるため、株式市場に流動性をもたらし、企業業績がたとえ悪くても株価が上昇しやすいということを言っている。昨年3月下旬以降の驚異的な上昇相場は、それが最強レベルで機能した例であり、コロナ禍ゆえの超金融緩和環境が原動力となった。しかし、景気が過熱した場合は金融引き締めに動くため、好景気でも株安という状況が生じる。業績相場の終盤ではその傾向が強くなる。
これまでは新型コロナウイルス感染が克服できない段階で経済が正常化することは見込めず、それゆえに中央銀行の金融緩和スタンスを担保することにもなっていた。また、今年度の企業業績は回復色を強めているが、雇用や消費が回復しない段階において緩和政策を解除することはない、というのが暗黙のコンセンサスであった。ところが、過剰流動性がコモディティに波及し川上インフレが顕著となるなか、物価に上昇圧力がかかっている。このまま行くとスタグフレーションに向けた歯車が回転し始めてしまう。新型コロナの蔓延よりも、今株式市場で懸念されているのはこちらのシナリオである。
日経平均は実質9月商いとなった8月30日から、今週9月14日までの12営業日で安かった日はわずかに1日、サイコロジカルは11勝1敗で、この間に3000円以上の上昇をみせた。したがって、前日ときょうの2日間下げても、400円未満の下げ幅であればそれは軽い息継ぎ程度に過ぎず、本来であれば上昇一服という表現で済まされるところ。来週21~22日のFOMCでは、11月からのテーパリング開始に言及するという見方も出ているが、仮にそうなったとしても、事前にガス抜きを利かせていることもあってマーケットに波乱をもたらすことはないという声も少なくない。しかし、中国の不動産大手、恒大集団のデフォルトリスクを相場がどこまで織り込んでいるかは未知数だ。早ければ来週20日期限の利払いが不履行となる可能性が指摘されている。相当な規模のドル建社債も発行しているとみられ、海外に飛び火しないという保証はない。中国政府は、かつての日本の総量規制のような動きで不動産バブル潰しに動いているが、その潰し方次第では中国経済の体温を奪ってしまうことになりかねない。「日本の二の舞を踏むことのないように中国当局は上海株のテコ入れなど、セーフティーネットを敷きながらやっている」(中堅証券ストラテジスト)とする意見もある。ただ、香港ハンセン指数の下げ方などをみても、そのセーフティーネットからはみ出た部分の負の連鎖に身構えておく必要はありそうだ。
一方、ひとつの楽観的なシナリオとしては、棚ぼた的な日本への資金流入がある。日本株の8月末からの上昇局面で中国系資金が日本株を買っているという観測が出ていた。これは中国政府の統制強化の動きを嫌気して、資金を中国国外に逃避させようという投機筋の動きの延長線上に日本企業の株式や不動産があるということ。更に欧米系マネーが中国への投資をためらい、アジアの要衝として日本に資金を振り向けるというシナリオも囁かれている。外国人投資家は9月第1週に現物で日本株を3700億円弱買い越している。なお、先物では2900億円あまりの買い越しであった。前日に発表された8月の中国小売売上高、工業生産高などの経済指標で中国景気の減速感が強まるなか、共産回帰の動きをみせる中国は不動産バブル潰しに本腰を入れ始めた。この流れは相対的に日本株投資の優位性を浮き彫りにする可能性もある。
あすは、自民党総裁選告示日。海外では8月の英小売売上高、9月の米消費者態度指数(ミシガン大学調査・速報値)など。
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