明日の株式相場に向けて=スタグフレーションの影を警戒

―本記事は情報拡散を目的に作成しています。ご紹介している文書は、各情報サイトおよび各企業様のホームページ等から引用させていただいています―


 きょう(17日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比98円安の2万7424円と4日続落した。地味ながら安値引けで売買代金も低調、市場のセンチメントは見た目以上に悪い。前日に日経平均は450円強の大幅安をみせたが、米国株市場の方は底力をみせた。NYダウは朝方大きく売りが先行したものの、その後は尻上がりに水準を切り上げ、結局5日続伸で最高値更新と相変わらずの強さを発揮した。本来であれば、きょうの東京市場は前日のリスクオフの巻き戻しで大幅高に切り返すというのが、これまでお決まりのコースであった。ところが、今回はそうはならなかった。日経平均は高く始まったもののすぐに息切れ状態となり、戻り売りを浴びマイナス圏に突き落とされた。とにかく買いポジションを低めておきたい、という思惑が機関投資家の売買行動に反映されているように見える。


 個人投資家にとっても今の“海運株祭り”に乗れている向きを除けば、ほとんどが思うように行かない相場といえるのではないか。ネット証券大手によると、マザーズ銘柄の信用評価損益率は前日時点でマイナス25.9%とかなり冷え切った状態にある。通常、信用評価損益率がマイナス20%台に入ってくると、追い証回避の投げ売りが誘発されやすくなる。「(評価損益率が)今のレベルでも実際に投げ売りの動きは一部にとどまっているが、いつダムが決壊しても不思議のない水準」と同証券のマーケットアナリストは警鐘を鳴らす。ちなみに東証1部との合算による信用評価損益率は前日時点でマイナス10.3%と新興市場ほどではないが、重苦しいムードに支配されていることに変わりはない。


 低調相場の背景は何か。新型コロナウイルスの感染拡大を挙げる声が多い。しかし、ここまでくるとおそらく本質は別の部分にあると考えるべき。緊急事態宣言の対象地域拡大や期間の延長は確かにネガティブ材料だが、相場は良くも悪くも新型コロナに対して目が慣れている。デルタ株よりもタチが悪いとされるラムダ株など新たな変異種の蔓延までは織り込んでいないと思われるが、足もとで喧伝されるデルタ株の感染者数増加や緊急事態宣言の期間延長などに反応しているとは思えない。これ以外に悪材料として、中国政府の統制強化、アフガンのタリバン制圧など地政学リスクが挙げられるが、これもはっきりしない。


 米国や中国などの直近の経済指標で市場コンセンサスを下回るものが相次いでいることから、世界景気の減速懸念に言及する声も増えている。ただし、世界景気の減速懸念ということであれば、ついこの間まで俎上に載っていたインフレ懸念とは対極に位置するコンセプトである。つまり景気への楽観的な見方の後退は、FRBをはじめとする中銀の超緩和的政策継続を担保することになる。そうであればポジティブ材料という捉え方もできる。


 しかし、市場関係者によると「直近の景況感の悪化は仕入れ価格の上昇が影響している。つまり消費者マインドが向上しないままコストプッシュインフレが進む方向にある」(中堅証券アナリスト)と指摘する声がある。これは需要の伴わない物価の上昇、すなわちスタグフレーションの兆候を示唆している。株式市場にとっては最も難敵で、ゴルディロックス相場(好業績と金融緩和策の共存)と真逆の環境に発展しかねない。パウエルFRB議長は今月のジャクソンホールでテーパリングの可能性に触れ、9月のFOMCで開始時期に言及、12月もしくは来年2月までに実施というシナリオが有力視されている。コロナ禍で利上げ前倒しが現実味を帯びた時は、年度後半に向けてロングポジションはリスクが大きいという結論になる。


 とはいえ、いま悲観に凝り固まっていても始まらない。慎重に相場の流れを見ながら、広い視点で物色対象を探っていきたい。日本郵船<9101>、商船三井<9104>をはじめとする大手海運株人気は乾汽船<9308>や明治海運<9115>、更に共栄タンカー<9130>、東海運<9380>というように横に広がりをみせている。倉庫株にも火がついた。既に杉村倉庫<9307>が値を飛ばしたが、運送会社の丸運<9067>も物色人気。更に出来高は薄いものの3PLに注力中のヒガシトゥエンティワン<9029>も動兆している。このほか、海運以外ではヒーハイスト<6433>、VTホールディングス<7593>は要マークとなる。全体波乱相場に流されない強さに刮目したい。鉄鋼では中山製鋼所<5408>の水準訂正余地が大きい。


 あすのスケジュールでは7月の貿易統計、6月の機械受注統計が朝方取引開始前に発表される。海外ではニュージーランド中銀の政策金利発表、7月の英消費者物価指数(CPI)が予定される。また、米国では7月の住宅着工件数が注目されるほか、FOMC議事録(7月27~28日開催分)が開示される。(銀)



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