―本記事は情報拡散を目的に作成しています。ご紹介している文書は、各情報サイトおよび各企業様のホームページ等から引用させていただいています―
―グリーンバブルに向けた大潮流発生、この流れに乗る銘柄をロックオンせよ―
地球温暖化防止という一大テーゼを背景に「脱炭素社会」実現に向けた取り組みが世界的に加速している。これまで依存していた石炭などの化石燃料から脱却を図り、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスといった地球上に存在する自然界の力、いわゆる「再生可能エネルギー 」を活用して定常的なエネルギーを確保しようとする動きは、グローバル規模でもはや止めることのできない大きな潮流となっている。
●世界中が「脱炭素」のフラッグめがけ走り出す
二酸化炭素の(CO2)排出規制という点では環境先進国である欧州が早くから対応をみせており、2019年時点で「欧州グリーンディール」として50年に温室効果ガスの排出量を吸収量も含め全体としてゼロにする「カーボンニュートラル 」を標榜していた。この背景にはITの世界2強として君臨する米中に対抗して、環境規制の構築によって欧州企業に有利な収益機会を獲得させるための政治的な意味合いもあったのだが、米国でトランプ政権から現在のバイデン政権に移行した段階で、舞台は大きく回った。
バイデン大統領がグリーンエネルギー重視を前面に押し出し、2兆ドル(約220兆円)規模の環境インフラ投資計画を掲げたことから世界的なグリーンバブルの引き金を引くことになった。その後、大気汚染が深刻な中国でも脱炭素に全力を挙げる構えを明示し、太陽光や蓄電システムなどに巨額の投資を行う方針を打ち出している。
●空前絶後の「1京円超」巨大市場創出
日本でも菅政権が地球温暖化対策の国際的枠組みである「パリ協定」を視野に置きつつ、50年までに温暖化ガスの排出量を実質ゼロにする目標を掲げ、欧米や中国の後塵を拝することのないよう脱炭素社会構築に向けた狼煙を上げた。4月の気候変動サミットで、バイデン米政権は30年までに温室効果ガスを05年比50~52%削減することを提示したが、日本もそれに倣って、30年度までに排出量を13年度比で46%削減する具体的な数値目標を掲げ、50年のカーボンニュートラル実現に向けたメルクマールとしている。
世界の環境関連投資は3000兆円に及ぶとされるが、直近ブルームバーグデータをもとに算出された脱炭素社会に向けた投資金額は、全世界ベースで、50年までに再生可能エネルギーに約34兆ドル、エネルギー効率化に約45兆ドル、電化・インフラに約29兆ドル、その他諸々を合計して実に約131兆ドル、日本円に換算して1京4400兆円という膨大な数字が試算されている。これは昨年の日本の名目GDPのほぼ26倍に相当する空前絶後の超巨大マーケットだ。例えば年間400兆円の需要を生む自動車産業だけでも電気自動車(EV)シフトの流れは巨額だが、脱炭素社会に向けた激動のほんの断片図に過ぎないことが分かる。
●世界の中央銀行も脱炭素応援モードに
今後、世界的に脱炭素化レースが加速していくことは必至といえるが、この脱炭素というテーマの凄みは、各国政府だけでなく金融政策を司る中央銀行も動かし始めていることにある。中央銀行は脱炭素へのテーマに今後どう関与していくかを模索する局面にあるが、既にECBは量的緩和策の対象としてグリーンボンドの本格購入を検討していることを明らかにしている。英国ではイングランド銀行が、企業がCO2排出削減に取り組んでいることを条件に社債を買い入れることを発表している。
日銀もまた脱炭素を巡り具体的な関与の方向を探っている。これまで日銀は国内金融機関に対し、物理リスク・移行リスクの観点から監視するにとどまっていたが、政策としてのアクションを起こす段階に入った。6月18日の金融政策決定会合では、脱炭素に関連する企業の設備投資に際して、金融機関の投融資を後押しする新たな資金供給策の導入を決めている。この「グリーン促進策」では脱炭素の寄与度の大きい投融資に高い上乗せ金利を付加するといった案が有力視されている。7月15~16日に開催予定の金融政策決定会合で、気候変動対応の投融資を後押しする資金供給策の骨子案が提示される見通しだ。
●輝きを取り戻したシンボルストック
株式市場でも、脱炭素ソリューションに絡む企業を多角的な見地で選出し、投資する動きが再び活発化しそうである。改めて述べるまでもなく、人気素地の高い銘柄が目白押しだ。
現在、マーケットでシンボルストック的に投資資金を集めているのは、余剰電力を買い取り顧客に再販する事業を展開するイーレックス <9517> 。同社はバイオマスの自社電源も保有しており、同分野の強みを前面に押し出す経営戦略で最高値街道を走っている。また、太陽光発電 や風力、バイオマスなど再生可能エネルギー全般の開発・運営を手掛けるレノバ <9519> も6月以降戻り足を強め、今年1月につけた上場来高値を目指す動きにある。更にメガソーラーの開発・保守を全国展開し売電事業にも注力するウエストホールディングス <1407> [JQ]なども脱炭素の代表格だ。このほかEV関連も当然ながら同テーマの一翼を担う。駆動用モーターを手掛ける日本電産 <6594> やモーターコア大手の三井ハイテック <6966> などが主役級だが、これ以外に直近IPO銘柄の日本電解 <5759> [東証M]も車載用リチウムイオン電池向け銅箔を製造販売しており、関連銘柄として強烈な物色人気を集めている。
もちろん、これらにとどまらず注目しておくべき銘柄は多い。今回のトップ特集では、脱炭素関連のテーマで、今後の株式市場において存在感を浮き彫りにするとともに、大きく水準を切り上げる可能性が高い有望株を7銘柄厳選した。
●ここから要注目となる脱炭素関連7銘柄
◎テスホールディングス <5074>
再生可能エネルギー発電所の設計・調達・施工をワンストップで手掛けるほか、売電などのエネルギーサプライ事業も手掛ける。また、コージェネレーションなど省エネシステムの施工・保守も行っている。4月27日に東証1部に上場した直近IPO銘柄で公開価格比18%高の2010円で初値を形成した後、一時公開価格を下回る1600円台まで下押す場面があったが、そこから大きく切り返してきた。インドネシアでバイオマス燃料事業に着手し既に国内供給もスタートさせている。21年6月期は最終利益段階で前期比39%増の22億5000万円と急拡大、22年6月期も大型案件の寄与で高成長が見込める。
◎日本ケミコン <6997>
コンデンサー の大手メーカーで特にアルミ電解コンデンサーでは業界トップシェアを誇る。また、車載用電気二重層キャパシタを育成中で、業容拡大に向けた布石も着々と進めている。EV市場の急拡大を背景に基幹部品である次世代電池材料にも積極展開を図っている。ブリヂストン <5108> 子会社の旭カーボンとの協業で全固体電池に使われる導電材料の量産技術を開発し、23年にも量産体制を確立させる計画にある。なお、この導電材料は今夏にもマクセルホールディングス <6810> にサンプル出荷するもようだ。業績も急変貌途上で、22年3月期営業利益は前期比倍増の62億円を見込んでいる。
◎ユーグレナ <2931>
微細藻類ミドリムシ を栽培し、これを活用した食品や化粧品を手掛ける。足もとの業績は営業損益段階からの赤字が続いているものの、注目されるのはミドリムシを使ったバイオ燃料事業に積極展開していること。20年4月以降、同社はバスやフェリー向けなどに次世代バイオディーゼル燃料の供給を行ってきたが、今年3月には世界初の次世代バイオジェット燃料 を完成させ、フライトに向けた取り組みを積極的に推進している。国土交通省航空局の飛行検査機でこのバイオジェット燃料を使ったフライトを実施。今後、導入が加速する形となれば量産体制の確保から業績を一気に飛躍させる可能性を内包している。
◎木村化工機 <6378>
化学プラントを主力とし、原子力関連機器で強みを発揮する。環境分野への取り組みも厚く、環境・資源リサイクル装置(水熱反応装置・内部熱交換型蒸留塔・膜分離装置)などで受注獲得が進んでいる。ヒートポンプ式の省エネ低温蒸発装置などCO2削減に貢献する化学装置の省エネルギー化技術では業界を先駆する。水素に絡む独自技術にも磨きをかけており、世界で初めて低濃度アンモニア水から高純度水素を製造し燃料電池発電に成功した実績を持つ。業績面も22年3月期営業利益は19億2000万円予想と前期比横ばい見通しながら、脱炭素に絡む独自技術が豊富で中期的な成長ポテンシャルは高い。
◎ユアテック <1934>
東北電力系の電気工事会社で首都圏など関東エリアも深耕している。メガソーラーや風力発電など再生可能エネルギー分野に積極展開しており、特に洋上風力発電事業に傾注し、秋田県など日本海側を中心に大手商社やゼネコンと協業でプロジェクトを推進している。年20円配当を続けているが、PER9倍台、PBR0.4倍台はあまりに評価不足といえる。更に、22年3月期を初年度とする5ヵ年の中期経営計画を開示しており、最終年度の26年3月期は売上高2400億円(前期実績1970億9200万円)、営業利益は120億円(同84億8400万円)を数値目標に掲げており、中期的に株価見直し余地は大きい。
◎エヌ・ピー・シー <6255> [東証M]
太陽電池製造装置メーカーでテスターなど後工程装置では世界でも屈指。米国での顧客開拓で高い実績を有し、環境インフラに積極的なバイデン米政権下でビジネスチャンス拡大が見込まれる。米太陽光発電システム大手で薄膜太陽電池モジュール世界トップのファースト・ソーラー<FSLR>を主要取引先に有しているが、6月初旬にファースト・ソーラーがオハイオ州での新たな太陽光パネル製造施設の建設に向けた設備投資計画を発表しており、エヌピーシーにも恩恵が及ぶ公算が大きい。業績は21年8月期営業大幅減益見通しも株価には織り込み済みで、22年8月期は今期推定比2割以上の増益転換が見込まれる。
◎正興電機製作所 <6653>
電力向け受変電設備などの製造販売を手掛け、IoT技術を駆使したソリューションを展開し情報制御システムなどで実力を発揮する。電力会社では九州電力 <9508> 向けが主力で、このほか重電トップの日立製作所 <6501> を主要納入先にしており強固な収益基盤が強み。再生可能エネルギーでは太陽光や風力、水力などを利活用し電力を創出・供給する製品システムを提供している。蓄電システムでも実績が高い。直近ではハイブリッド蓄電システムとソーラーカーポートを組み合わせ、EV用に再生エネ充電を可能とするパッケージシステムの販売を開始した。21年12月期営業利益は前期比5割増の20億円予想。
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