スマートリング登場で急浮上「ウェアラブル関連株」、決済・健康分野に新市場

―本記事は情報拡散を目的に作成しています。ご紹介している文書は、各情報サイトおよび各企業様のホームページ等から引用させていただいています―


―コロナ禍で非接触ニーズが拡大、在宅勤務普及で運動不足解消に商機膨らむ―


 今年に入り、注目のウェアラブル製品が続々登場している。健康機器や美容家電の開発・販売を行うMTG <7806> [東証M]はこのほど、指輪型のウェアラブル製品であるスマートリングの販売を始めた。クレジットカードと連携した決済機能が搭載されており、非接触での買い物を可能にする。ソニーグループ <6758> は4月、専用のシャツなどに装着して使用する「着るクーラー」の新機種を発売した。アシックス <7936> は昨年からスマートシューズを販売しているほか、今年1月にはスマートフォンアプリと「G-SHOCK」などを組み合わせたランニング支援サービスの提供を開始した。ユニークな商品の発売が相次ぐなか、今後活躍が期待されるウェアラブル関連銘柄を追った。


●スマートリング発売を機にウェアラブルに関心


 MTGが手掛けるスマートリング「EVERING(エブリング)」の販売が始まった。17日に開始された数量限定の先行予約販売は、同社の予想を上回る売れ行きで翌日には完売した。会社側では、今後の入荷予定や販売再開の時期について夏頃を予定しているという。


 今回MTGから発売されたエブリングは、「Visa」のタッチ決済に対応しており、コロナ禍で高まる非接触決済のニーズを取り込むことが期待される。また、充電が不要である点が特徴で、リングの素材には人体との親和性が高いとされる高硬度の素材を使用しており、耐久性に加えて肌馴染みの良さにも優れている。今後、公共交通やシェアリングエコノミー、鍵、チケットなどの機能追加を行い、日常生活に欠かせない商品となることを目指す。


 これまで、スマートリングの購入においては、各種ECサイトなどで海外製の商品が販売されており、国内でも入手することは可能だった。ただ、海外メーカーのものは日本での使用があまり想定されておらず、機器の操作や説明書などが日本語表記に対応していない点や、製品サポートの体制が不明確な点などがデメリットとなってしまい、一般に広く浸透するまでには至らなかった。そうしたなかで、今回のMTGによる国内スマートリング市場への本格参入は、こうした状況を大きく変える可能性があり、市場の拡大にもつながっていくことが見込まれる。更に、これを機にウェアラブル製品への関心も再度高まるとみられ、株式市場でも関連銘柄が注目される場面が増えていくことが見込める。


●スポーツ・ヘルスケア分野向けで活用進む


 コロナ禍でのテレワークの拡大や自宅で過ごす時間が増加したことなどによる運動不足を背景に、健康に対する意識が強まっている。運動する機会が増えるとともに、歩数や心拍数、消費カロリーなどを計測するニーズも高まっていくと予想されることから、ウェアラブル製品はスポーツやヘルスケア分野での活用が進みそうだ。


 アシックスは1月、カシオ計算機 <6952> と共同でランナー向けパーソナルコーチングサービス「Runmetrix(ランメトリックス)」の提供を開始した。同サービスに対応した「G-SHOCK」やセンサーを装着して走ることで、走行距離をはじめ、体幹の傾きや骨盤の回転などのデータが計測でき、フォーム改善や練習プログラムのアドバイスを受けることができる。アシックスは昨年12月にもランニング支援のためのサービスとして、スポーツテックベンチャーと共同開発したスマートシューズの販売を行っている。同社は直近、21年12月期見通しの大幅上方修正を受けて株価が急伸し、マーケットの注目を集めた。その後も上昇基調を維持しており、上値追いの展開となっている。


 東洋紡 <3101> は、生体情報の計測を行うスマート衣料向けフィルム状導電素材「COCOMI」を2015年に開発し、以降さまざまな製品に展開している。2月に開催された「スポーツビジネス産業展」では、同素材を使用したスポーツウェアなどの展示を行った。同社は5月10日に22年3月期の連結業績予想を発表、営業利益は前期2ケタ増に続き小幅ながらも増益を確保する見通し。また、純利益については前期に計上した自社工場の火災事故に伴う特別損失などの影響がなくなり、前期比2.7倍増益と急回復を見込む。年40円配当を継続しており、PBR1倍割れ水準は割安感が強い。


 このほか、帝人 <3401> 傘下の帝人フロンティアは高機能繊維とセンシング技術を組み合わせたウェアラブルソリューションを展開、1月には同ソリューションを用いたデジタルゴルフレッスンサービスの提供を開始した。また、体から発する微弱な電気信号を読み取る機能素材「hitoe」を手掛ける東レ <3402> 、スマート衣料を用いた熱中対策サービスを提供するクラボウ <3106> をはじめ、スマート衣料以外ではウェアラブル血圧計を手掛けるオムロン <6645> などにも目を配っておきたい。


●「網膜投影型」「コンタクト型」、スマートグラスは新段階へ


 ウェアラブル製品のなかで、折に触れてマーケットの耳目を集めるものの一つにスマートグラスがある。特にコロナ禍をきっかけとして、工場や建設、医療分野をはじめ、さまざまな業種で導入が進められている。また産業向けだけでなく、一般向けの製品においても、KDDI <9433> は中国エンリアル社と共同開発したスマートグラスを昨年末に販売開始したほか、セイコーエプソン <6724> も今年に入って自社開発するスマートグラス「MOVERIO(モベリオ)」の新製品や関連商品の発売を発表するなど、広がりをみせている。


 こうしたなか、次世代のスマートグラスとして有力視されているのが、目の網膜に直接映像を映す「網膜投影型」製品だ。この分野で独自技術を有するQDレーザ <6613> [東証M]は、網膜走査型レーザーアイウェアを民生用や医療向けで展開しており、大手企業との協業で販売拡大を図っている。また、昨年にはメガネブランド「Zoff(ゾフ)」を運営するインターメスティック(東京都港区)と、スマートグラスの共同開発や商用化で業務提携しており、今後の動向に注視していきたい。5月13日に発表した22年3月期の単独業績予想では、売上高は2ケタ増収と好調で、営業利益は前期比で赤字幅縮小の見通しとした。同社は2月のIPO銘柄で初値形成後はセカンダリーでも急速人気化し、2月17日に2070円の高値に駆け上がった。その後は反落を余儀なくされたものの1200円近辺では買いが厚く、3月初旬以降、現在まで1200~1700円のゾーンでの往来を繰り返している。


 眼疾患治療薬ベンチャーの窪田製薬ホールディングス <4596> [東証M]は5月17日、米国子会社が開発するウェアラブル近視デバイス「クボタメガネ」が、台湾で医療機器の製造許可を取得したと発表した。これについて同社では、21年内のアジア諸国での上市に向けた順調なスタートとしており、引き続き世界各国で臨床試験を行い、他国での認証・承認を目指していくという。同社株は小型で急騰習性があり、昨年6月には同デバイスが米国で治験に入るとの報道を受けて人気化した経緯がある。足もと株価は、250円前後で推移している。


 スマートグラスの次の段階として注目される「コンタクト型」製品では、メニコン <7780> が要マークとなる。同社は、スマートコンタクトレンズを開発する米モジョ・ビジョンと共同開発契約を結んでおり、将来的な実用化に期待が持てる。


●一風変わった製品にも注目


 ソニーGはスマートウォッチやスマートバンド、ネックスピーカーなど、ウェアラブル分野においてもさまざまな製品を手掛けているが、なかでも昨年に一風変わった商品を発売した。「着るクーラー」と呼ばれるウェアラブルサーモデバイス「REON POCKET(レオンポケット)」で、本体に接触する部分の体表面を冷やしたり温めたりすることができるというもの。今年4月には、冷却機能を強化した新機種の提供も始めた。


 ローランド <7944> は2月、指輪型のウェアラブルMIDIコントローラーの輸入販売を開始した。指に装着して空中で手を動かすことで、シンセサイザーなどの音にさまざまな変化をつけることができるというもの。会社側では、同商品を手掛ける仏企業とのパートナーシップにより、グローバルで独占輸入販売するとしている。同社は5月7日、21年12月期業績予想の上方修正を発表し、売上高を前期比23%増の788億円(従来予想684億円)、営業利益を同51.8%増の108億円(同75億円)に大幅増額した。株価は昨年12月の新規上場以来、一貫した上昇トレンドを続けており、初値からの上昇率は2倍を超えた。


 また、凸版印刷 <7911> は4月に遠隔体験用デバイス「IoANeck(IoAネック)」の販売を開始、パナソニック <6752> はヘッドホンとパーティションが付いた頭に装着するタイプのウェアラブル製品「WEAR SPACE(ウェアスペース)」をグループ会社と共同開発した。そのほか、バンダイナムコホールディングス <7832> が腕時計型のウェアラブル玩具を提供しており、今後もユニークなウェアラブル製品に注目していきたい。