日の丸「ドローン」出番到来、現実買いへテイクオフ

―本記事は情報拡散を目的に作成しています。ご紹介している文書は、各情報サイトおよび各企業様のホームページ等から引用させていただいています―


―中国製排除の動き鮮明、成長市場奪回で再浮上機運高まる―


 日の丸ドローンの反撃が始まった。これまで安価なうえ品質も高い中国製に押されていたが、ここにきてようやく官民一体となって“失地回復”に向けて動き出している。株式市場においては、折に触れてドローン関連株にスポットライトが当たってきたが、ビジネスとしては世界を席巻する中国製の攻勢になすすべもない状況にあり、あくまで「理想買い」の域を超えることはなかった。しかし、国がセキュリティー上の観点から、政府機関におけるドローンを「リスクが低い」ものへ置き換える方針を打ち出した昨秋あたりから急速に風向きが変わってきている。理想買いから現実買いへ、膨張するドローン市場を背景に活躍期待が高まる関連株を追った。


●できるだけ速やかにリスクが低いものへ


 政府は昨年9月、「政府機関等における無人航空機の調達等に関する方針について」で、「サイバーセキュリティー確保の観点からリスクが高いものについては、できるだけ速やかにリスクが低いものへの置き換えを進めることとする」とした。「中国製ドローン排除の動き」と伝える一部報道もあるが、当然のことながらこの方針には中国の名称は一切出てこない。ただ、米国と中国の対立軸が鮮明化するなか、安全保障上の観点から日本においても圧倒的シェアを持つ中国製脱却を念頭に置いたものであることは間違いない。


 これについて、ドローンの開発に携わる数社に取材すると、「まあ、そういうこと(中国製排除)だろう。いずれにせよ、企業としてはビジネスチャンスが広がった」というのが共通した認識だった。中国製の排除については明言を避けるなど、企業としての配慮も感じられる。実際のところ、政府主導で同国以外のドローンに置き換わることで、商機拡大のキッカケにつながることが予想される。また、国外に目を転じても脱中国の動きがみられる状況であり、海外市場での需要が一気に膨らむ可能性も出てくる。


●急拡大する市場にらみ続々参入


 インプレス総合研究所の「ドローンビジネス調査報告書2021」によると、日本国内のドローンビジネスの市場規模は「21年度には前年度比25%増の2305億円に拡大し、25年度には6468億円(20年度の3.5倍)に達する」と急拡大を見込んでいる。分野別では、25年度は「機体市場が1310億円(同約2.2倍)、周辺サービス市場が797億円(同約2倍)に達する」見込みだ。


 大手企業も、こうした急成長する市場をにらみ続々とドローン事業に参入している。ソニーグループ <6758> は昨年11月にAIロボティクス領域における、ドローンプロジェクトのブランドを「Airpeak(エアピーク)」とし、今年3月には同年に事業化を予定しているAirpeakの機体を一般公開した。また、昨年12月にはNTT東日本(東京都新宿区)がオプティム <3694> などと合弁会社「NTT e-Drone Technology(NTTイードローン)」を設立し今年2月には事業を開始。5月19日には九州電力 <9508> が、ドローンを利用したインフラ点検ソリューションを展開するジャパン・インフラ・ウェイマーク(大阪市中央区)と共同で、インフラ点検に関するドローン機体・サービスの開発を行うと発表するなど、ドローンを巡る動きが活発化している。


●広がる活躍領域


 国産ドローン回帰への動きだけではなく、撮影、農業、測量、警備、流通などをはじめとして、幅広い分野に活躍領域が急拡大していることも成長期待を膨らませる。事業規模が5年間で15兆円に及ぶ菅義偉首相肝いりの国土強靱化では、激甚化する風水害や巨大地震などへの対策、予防保全に向けたインフラ老朽化対策の加速などが推進されているが、ドローンは「防災」や「インフラ点検」でも重要な役割を担う。


 更に、菅政権が掲げる「50年カーボンニュートラル」を実現するためには、再生可能エネルギーの拡大が必須で、風力発電や太陽光発電といった大規模設備の点検でも力を発揮することになる。国産ドローンへの転換が早急に求められるなか、需要拡大への思惑が高まっており、株式市場でも現実買いを見据えた動きが早晩訪れることになりそうだ。価格に加え技術面でのハードルは高いものの、ここにきてさまざまな課題を克服するため、開発・製造に向けた取り組みが急加速している。


●攻勢掛ける自律制御シ研


 こうしたなか、4月中旬には新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「安全安心なドローン基盤技術開発に関する説明会」が開催された。この説明会において、ヤマハ発動機 <7272> 、NTTドコモ(東京都千代田区)、自律制御システム研究所 <6232> [東証M]などと連携して開発した新型機が公開され注目が集まった。開発機は高いセキュリティーを実現し、重量は約1.7キログラム、幅約65センチメートル、動画4K対応で2000万画素と日本の技術を集約したドローン。事業者による21年度中の市場導入を掲げており、政府機関による調達のほか、公共領域やインフラ点検などの産業用途での活用を目指すとしている。


 このプロジェクトのコンソーシアムリーダーを務める自律制御シ研では、同ドローンについて第3四半期中の上市を予定しており、政府調達などに向け開発・量産を準備中だ。同社は、商業用ドローンの製造販売を手掛けるが、いまやこの分野における中核的存在であり、同社を見つめる投資家の視線も熱い。5月に入っても、インフラ点検用国産ドローンのサブスクリプションサービスの提供開始や、ASEANに本格進出すべくインドにおいて共同出資の合弁会社の設立を発表するなど、新機軸を次々に打ち出している。同社が12日大引け後に発表した21年3月期の連結最終損益は15億1100万円の赤字(前の期非連結は2億3900万円の黒字)に転落したが、22年3月期は2億8500万~6億8500万円の赤字に赤字幅が縮小する見通しだ。株価は現在2500円近辺に位置し下値模索の展開だが、国産ドローンの活躍のフィールドが広がるなか、今後の動きから目が離せない。


●ニーズ捉えるミライトHD


 ここにきて、ドローン領域でも攻勢を強めているのがミライト・ホールディングス <1417> だ。同社の連結子会社であるミライト・テクノロジーズは昨年7月、ドローン事業を専門とするミラテクドローン(東京都品川区)を設立。ミライト・テクノロジーズに関しては、17年からドローン事業に参入し、点検業務、ドローン運航代行などのサービスを提供、ドローンスクールでは約600人のパイロットを育成してきた。同月には、東京都江東区と「災害時における無人航空機(ドローン)を活用した支援協力に関する協定」を締結。大規模災害時に区からの要請に基づき、ミラテクドローンと共に直ちに出動し、土木施設の被災状況の早期把握を行うという。また、今年4月にはミラテクドローンが「ドローンによる抗菌・抗ウイルスコーティングサービス」の提供を開始した。新型コロナウイルスなどの接触による感染拡大を防止し、大規模イベント会場(屋内外)の日々のメンテナンスを軽減するとしており、新しいニーズへの対応も果敢だ。ミライトHDの21年3月期の連結経常利益は前の期比36.8%増の317億3900万円とコロナ禍にあっても好調だ。22年3月期は同利益で前期比0.8%増とほぼ横ばいを見込むが、20日に発表した4月度の月次受注実績では前年同月比29%増となっており、これを評価する買いが株価を後押しし、きょうは年初来高値を更新した。


●双葉電はドローン運用管理システム


 双葉電子工業 <6986> は昨年12月、ソフトバンク <9434> と産業向けドローンを共同開発したことを発表し関心を集めた。双葉電は、カスタマイズ性と耐風性に優れた全天候型の産業用ドローンを既に展開している。ソフトバンクとは、橋梁や鉄塔、建設現場での点検をはじめ、測量や災害支援などに活用できる産業向けドローンの共同開発を同年9月から開始していたが、まず機体のプロトタイプを製作した。双葉電の産業用ドローンをベースに、LTEの活用により誤差数センチメートル級の高精度測位に対応している。また、今月12日にはドローンソリューション事業を手掛けるクオリティソフト(和歌山県)とセキュアな環境でドローンを運用することができる「ドローン運用管理システム」を開発したとしており、新しいニーズの掘り起こしにも余念がない。21年3月期の連結経常損益は赤字幅が縮小、22年3月期は3億3000万円の黒字に浮上する見通しだが、株価は下値模索の展開が続いている。


 そのほかでは、ドローンによる安全な外壁調査を実現するシステムを日本建築ドローン協会、神戸大学などと開発した日本アビオニクス <6946> [東証2]、自律制御シ研と共同で合弁会社を設立すると発表したNJS <2325> 、板金・成形・金型開発を主力としドローン分野でも展開する菊池製作所 <3444> [JQ]にも目を配っておきたい。


●ローム、ジー・スリーにも活躍の場


 活躍のステージを急速に広げるドローンだが、その周辺にもさまざまな分野の企業参入が相次いでいる。新たな技術開発が、ドローン市場を更に活性化することになりそうだ。


 ローム <6963> は3月上旬に、バッテリー駆動のIoT機器やドローンなど、高光度の白色発光を必要とする幅広いアプリケーションに向けて、超小型の高光度白色チップLED「CSL1104WB」を開発したと発表。少ないスペースにLEDを多く搭載したいアプリケーションの登場に伴い高密度実装が要求されているが、同製品は高光度と小型化の両立を図り、急成長するドローン市場を背景に需要を獲得する可能性が高い。同社は5月10日に決算を発表したが、21年3月期の連結経常利益は減益予想から一転して増益で着地。22年3月期も前期比18%増の480億円に伸びる見通しだ。


 ジー・スリーホールディングス <3647> [東証2]は、11日取引終了後にマグネシウム電池事業を開始すると発表したことで、株式市場での関心が一気に高まった。今後、このマグネシウム電池を災害時非常用電源として使用されることを想定した開発を進め、将来的にはドローン搭載用などでの活用も目指すという。株価は既に上値指向を見せていたが、この発表が相場を刺激し更に上昇が加速することになった。4月初旬には270円近辺でもみ合っていた株価は、5月20日には上ヒゲで582円まで買われ年初来高値を更新している。株価は高値警戒感を指摘する声もあるが、今後の動向から目が離せない。